HIGEの独り言
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「母ちゃん、母屋の玉子巻きにねえ、醤油と砂糖を入れるんやて」。
「そんなん、気持ち悪いね」。
わが家の玉子巻きは、いわゆる塩味のプレーン焼きであった。玉子の香りがたまらなくいい。母親にとって、そこに醤油や砂糖を入れて味付けすることなど思いもよらなかったに違いない。子供にもそれをおいしいとは想像できなかった。
玉子巻きに何かをかけるとすれば、ウスターソースと決まっていたからである。でもよく考えれば、玉子かけご飯は醤油と決まっていたのだが。
母親の玉子巻きは、薄く焼いたものを幾重にも巻くやつである。箸の先でその薄い膜をめくって食べるのが好きだった。今でも、バウムクーヘンでも、湯葉の巻いたものでもともかく薄い層を巻いた物は、剥しながら食べるのが好きである。
巻き筋が見えない玉子巻きがあるとは知らなかったし、伊達巻という味がついたものを知るのは大人になってからである。
近頃居酒屋では厚焼き玉子がなかなかの人気だ。でもなかなかわが家ような玉子巻きには出会えない。
(わが家は父が分家して本家の傍にあったことから本家のことを母屋といっていた。)