忍者ブログ

ヒゲブログ

HIGEの独り言

ご飯

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

ご飯

何もない時代、母親は僕ら子供3人のために様々な工夫をして料理をしてくれた。ご飯は主食であり、間食のおやつの役目も果たした。「母ちゃん、腹へったぁ、なんかないかいねぇ」。「ままでも食っとけ」だった。

わが家では、近所のほとんどがそうであったように、お釜でご飯を炊いていた。(村にプロパンガスが普及し、ガス釜に変わるまでお釜だった。電気釜になるのはずっと後のことだ。)ご飯は土間においた鉄製のへっついでワラを燃料として炊いた。ワラは沢山あったし、その火力がご飯を炊くのに適していたのだろう。

蒸気機関車の運転士の父親によれば火加減は蒸気機関車にとっても大事のことだそうだ。「蒸気機関車か真っ黒な煙を吐くのはへたくそな証拠。機関助手に石炭込めを指示するのは運転士の仕事。石炭を入れ過ぎると不完全燃焼で煙が出る。完全燃焼すれば本当は煙は青白い。そのように石炭はくべるのだ。」

ご飯が上手く炊けるコツは昔から火加減だ。ワラは火加減を調整するのに適している。ただ煙もよく出る。おかげで煙が天井を伝い僕らの寝ているところに下りてくる。煙たくてたまらず目が覚める。そんな調子であった。確かにワラで炊いたご飯はうまいような気がした。

お釜で炊いたご飯の、子供にとって一番の楽しみはおこげの部分に塩をまぶして作るおにぎりだった。適度なおこげができないとご飯はうまく炊けないのではと思う。度が過ぎるとごはん全体が焦げ臭くなり台無しとなる。だから火加減、だからワラだったのだろう。おこげは茶碗に盛るよりおにぎりが良い。ご飯は熱いうちにお櫃に移しかえられる。

お釜はしばらく水を浸しておく。お釜にくっついた焦げやご飯粒をとりやすくするためである。流しでお釜を洗っている母親が手で米粒を洗い落としながら底にたまったのを手ですくって食べるのである。実はご飯というものは、湯づけはもとより、冷たい水をかけて食ってもうまいのだ。嘘だと思ったらやってみたらいい。「母ちゃん、うまいかいね」。「うん、うまいよ」。「昔から、釜を洗うのは嫁の仕事と言ってな、姑に遠慮して腹いっぱいまま食えん嫁さんのために、釜にくっついた米粒はとっとくもんやったらしいよ。普段はどんだけつつましかっても、わざとご飯粒を残したもんやと」。

最近の電気炊飯器はお釜で炊いたようなご飯を目指しているという。そのためにはおこげがキーなのだと思う。ご飯粒が釜のヘリにくっつくことももうない。熱いご飯に水をかけてかっ込むこともないのだろう。

PR

コメント

プロフィール

HN:
HIGE
性別:
非公開

カテゴリー

P R