HIGEの独り言
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朴の葉で包んだおにぎりだ。山の畑しごとの昼飯での楽しみだった。手塩で握ったおにぎりをきな粉でまぶし、柔らかく青々とした朴葉で包んだだけのもの。昼飯で食べる頃には朴葉の香りがきな粉のおにぎりに移り込み、それが何とも言えない味と香りを持ったものに変身している。しょっぱいものや辛い物、刺激のあるものが好きだった私だが、朴葉のおにぎりは仄かな香りと味しかしない。しかも冷たくなっている。でもなぜかこれが好きで、これを食べたくて、母親に作ってもらいたくて、新緑の季節になると山に入ってはできるだけ大きい柔らかそうな朴葉をとって来たものだ。
ちなみに、朴の葉は一枚一枚は楕円形であるが、それが丁度風車のようになって数枚ひとかたまりとなっているのが特徴である。だから固い葉っぱはそのままとってきて、先端を適当に切って風車にして遊んだものである。朴の木の樹皮は、それを優しくたたいたり、揉んだりすると簡単にスポット抜ける。適当な枝は、チャンバラには格好の刀となる。
そして、朴葉のおにぎりの味付けのもう一人の主役がきな粉である。塩も砂糖もいれない、プレーンのきな粉でなければならない。朴葉のおにぎり以外で、ご飯にきな粉をかけて食べることはない。おはぎにきな粉や、餅にきな粉はよくある(実は私はあまり得意ではない)。朴葉とプレーンのきな粉の組合せがベストなのである。
定年となりテレビと友達になったある日、岐阜の風景だった。何と全く同じ朴葉のおにぎりを山仕事の昼飯に食べているのが紹介された。わたしと同年代。全く私と同じ感想を述べておられた。「何とも言えない香りなんですよ。」(岐阜には朴葉味噌という名物がある。これは大きな朴の葉に包んでいるが、微妙な朴の香りを楽しむものとは異なるものだと思う。)
「母ちゃん。テレビで朴葉のおにぎりやっとたよ。おまんが作ってくれたんといっしょやったわ。」「ほうかね。」「あれはまーかったなぁ。」「あんなもんがね。そういや(そういえば)、おまんな好きやったね。」「そうや。」